しぇるりんのつれづれ日記

気が向いた時に、読書、話題などについて、ちょこちょこ書いて行こうか、と思ってます。

大正時代のお父さんに感動!

今、第二次世界大戦の戦記物で有名な吉村昭氏の《関東大震災》を読んでいる。

この本を読むまで知らなかったのだが、吉村氏のご両親は、関東大震災の罹災者であった、とのこと。

関東大震災が、単なる「未曾有の震災」であっただけでなく、流言飛語、火事場どろぼうなど、人災被害が甚だしかった様子を描いている。

勇ましい軍記物と違い、当時まだ生存していた震災の生き証人らの証言、被災児童の作文、被災者の証言などをつづった、迫真のルポルタージュ形式の作品は、吉村氏の作品群の中では異色と言えよう。

その中に、新吉原の芸妓となった娘の遺骨を探しに、九州から父親が上京した、という話しが出てくる。
新吉原の娼妓、芸妓、太鼓持ち、楼主など、身分の上下を問わず、逃げ込んだ吉原公園で亡くなった方が多かったという。

当時の新吉原で「お職を張っていた」女性たちのほとんどが、親や親族に売られた人たちだったはず。

過去にどんな経緯があったとしても、父親にとっては、無条件にいとしい娘だったのだろう。

大正時代のお父さんの、あつい娘想いの心に一票入れたい。









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